森林の土地を取得したときの届出
相続による不動産の名義変更の事例で、田舎の森林(山林)などの土地を相続するケースもよくあります。
森林の土地を取得したときは、その土地がある市町村の長に届出をする必要があります。ただし例外あり。
この届出制度は、平成24年4月から始まった制度で、行政が森林の土地の所有者を把握するため、森林法改正によって設けられました。
森林の土地を取得したときの届出について(林野庁リーフレットより)
届出が必要な場合
個人か法人かによらず、売買契約のほか、相続、贈与、法人の合併などにより、森林の土地を新たに取得した場合に、面積に関わらず、事後の届出として森林の土地の所有者届出が必要です。
ただし、国土利用計画法に基づく土地売買契約の届出を提出した場合は、森林の土地の所有者届出は不要です。
※届出の対象となる森林は、都道府県が作成する地域森林計画の対象となっている森林です。
※地域森林計画の対象となっていない森林を取得したときは、届出不要です。
※登記簿上の地目によらず、取得した土地の現況が森林の状態である場合は、届出の対象となる可能性が高いので、注意が必要です。
※国土利用契約法に基づき、次の面積以上の土地の売買契約をしたときは事後届出が必要です。
・市街化区域:2,000㎡
・その他の都市計画区域:5,000㎡
・都市計画区域外:10,000㎡
届出をする時期
森林の所有者となった日から90日以内に、取得した土地がある市町村の長に届出を行う必要があります。
相続の場合、財産分割(遺産分割)がされていない場合でも、相続開始の日から90日以内に、法定相続人の共有物として届出をする必要があります。
届出の必要な書類
届出書には、届出者と前所有者の住所氏名、所有者となった年月日、所有権移転の原因、土地の所在場所及び面積とともに、土地の用途等を記載します。
添付書類として、登記事項証明書(写しも可)又は土地売買契約書など権利を取得したことが分かる書類の写し、土地の位置を示す図面が必要です。
届出をしなかった場合
届出をしない、又は虚偽の届出をしたときは、10万円以下の過料が課されることがあります。
詳しくは、取得した土地がある市町村や都道府県又は出先機関の森林担当の部署へお問い合わせ下さい。
◇森林の取得の届出制度について当職が感じたこと◇
・そもそも、森林を取得したら届出が必要なことは、多くの国民が知らない。
・また、取得した森林が、地域森林計画の対象となっているかどうかについて知らない。
・地域森林計画の対象の森林かどうかを調べようと思っても、容易に調べることができない。実際に役所の担当部署に電話をしても、容易に回答を得られない。
・都道府県によっては、インターネット上で、地域森林計画図のようなものを公開している場合もあるが、それを見ても、森林のプロでないと、よくわからない。
・相続によって森林を取得した場合は、都会に住んでいる方が、田舎の森林を取得することも多く、その森林がどこにあるのか、現況がどうなっているのかもわからない場合が多い。
・国民への周知が行き届いていないので、届出の期間が90日以内というのは短いと感じます。
・森林を取得したら届出が必要なことを、多くの国民が知ることができるような機会があればいいと考えます。
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柿本大治司法書士・行政書士事務所
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